2)相続人同士で「トラブルが発生したことがある」=8割トラブル発生パターンのベスト3は…
1位=「相続対象の財産が不動産のみなど、分けにくい」2位=「遺言書が無い」
税理士が過去に相談を受けたケースで、相続人同士のトラブルが発生したことがあるかどうかについての設問で、「発生したことがある」と回答した80%の税理士に対し、相続人同士の意見相違や、トラブルが発生するパターンについて複数回答で聞いてみたところ、最も多かったのは「相続対象となる財産が不動産のみなど、分割が困難な状態にある」で、半数以上(51.3%)に達した。以降、「被相続人の遺言書がない(46.3%)」、「被相続人に子どもが2人以上いる(32.5%)」、「被相続人の遺言書に記載されている、相続人の希望や分配比率が法律で定められた内容と乖離している(26.3%)」、「被相続人の財産管理意識が低い(20.0%)」と続いた。相続対象となる財産が分けにくい!というのが、トラブル発生の一番の要因である他、被相続人が「遺言書の作成」を怠ったケース、また被相続人の意識が低いことも、大きなトラブル要因である様子がうかがえる結果となった。
Q:財産相続の際に相続人同士の意見の相違やトラブルが発生するパターンとして 当てはまるものをすべてお選びください。<MA> |
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主な調査結果 第3部 : 財産相続のトラブル回避に向けたアドバイス
1)被相続人が“やっておくべきこと”は早い段階からの準備!
=「遺言書作成」「被相続人が健康なうちに相続人達と話し合う」「生前贈与」
財産相続において、プロの視点から被相続人が「生前にやっておくべきだと思うこと」について、複数回答で聞いてみたところ、 最も多かったのは、「財産相続方法を盛り込んだ遺言書を作成する」で65.0%、次いで「被相続人が健康なうちに相続人達と話し合いの場を持つ」で、ほぼ同率の64.0%となった。以降、「生前贈与を行う(56.0%)」、「妻や子供(相続人)を保険金受取人とした生命保険に加入する(47.0%)」「分割し難い土地や建物を売却して現金にしておく(27.0%)」と続いた。保険への加入など、若いうちからの準備が必要な項目の他、「信託銀行などの財産分割を活用する(12.0%)」などといった選択肢もあるが、総じて「早い段階からの準備」が必要であることは間違いなさそうだ。
Q:財産相続においてプロの視点から被相続人が生前にやっておくべきだと思うこととして 該当するものを全てお選びください。<MA> |
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2)財産相続のプロが考える相続人同士のトラブル回避策ベスト3
1位=「家族同士の話し合い」2位=「あらかじめの準備」3位=「より具体的な財産管理」
最後に、財産相続において、相続人同士の意見の相違やトラブル回避、また今後の不安を払しょくするために、やっておいた方が望ましいと思うことについて聞いてみたところ、最も多かったのは「財産相続についての家族同士の話し合い」で全体の71.1%が回答、次いで「遺言書作成などあらかじめの準備(60.8%)」、「財産相続を前提とした、より具体的な財産管理(48.5%)」、「財産相続後の家計についてのより具体的なシミュレーション(23.7%)」、「財産相続後の財産に関する、管理者の設定などルールづくり(21.6%)」と続いた。
Q:財産相続において、相続人同士の意見の相違やトラブルを回避したり、今後の不安を払しょくするために、各家庭でやっておいた方が望ましいと思うことはなんですか。<MA> |
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■今回の調査結果を踏まえた「財産相続」のプロからのコメント
税理士法人チェスター
代表 税理士
福留 正明氏
アンケート結果によると、相談を受けた税理士の81%が相続人の財産管理に「不安」を感じたことがあると回答している。なお、不安を感じる2大要因は、「相続人が高齢」「相続人の財産管理意識が低い」となっている。「相続人が高齢」というのは、一般的に専門的な知識や複雑な手続きが必要となる相続対策を行う上で、課題となっている。さらに、将来の相続を考える上で、財産を計画的に管理するということは非常に重要なことだが、その点でも、「相続人の財産管理意識が低い」という心配な結果となっている。充実した余生を送り、さらに、相続人へ財産を遺すという両者を実現するためには、計画的な財産管理が必須となる。また、アンケートによると、財産相続のプロが考える相続人同士のトラブル回避策ベスト3は、1位=「家族同士の話し合い」、2位=「あらかじめの準備」、3位=「より具体的な財産管理」となっている。トラブルの回避策については、まずはしっかりとした家族同士の話し合いが必須となる。ただ、大手信託銀行などが展開している、プレ相続商品などの活用もオススメです。プレ相続商品とは、トラブルの回避としての相続対策をしつつ、計画的な財産管理をプロに任せられるという特徴がある。遺言を書いたり、生命保険に入ったりするよりも手続きが簡単に相続対策ができてしまうので、複雑なことは好まないが相続については心配といった不安を抱えている方に特にオススメです。
今回の調査結果から、財産相続について実際に発生する具体的なトラブルの内容やその発生要因、またプロからのアドバイスとして、早いタイミングからの準備をしておくことで、相続人同士の不毛なトラブルを回避できることが確認された。被相続人となる当事者、また相続人となる家族間で先延ばしにしたい問題となりがちな「財産相続」だが、1年以内に増税となる今だからこそ、家族間で具体的な話し合いの場を持たれてみてはいかがだろうか。